この位置に座ると|住宅−問題

 そうか、この位置に座ると扉の窓ガラスを通してあの桜が見えるのか。嫌な気分だ、あの時の事が頭の中に浮かんでくる。そうだ、俺が置かれた状況はあの時と同じだ。俺は背中を壁につけて、寝転がる久美子を見ていた。いや、同じではない。雪が降ることを知っていて、俺はこの小屋に来た。

 まただ、ふたりの女性は俺たちを見ている。まるで俺たちを観察するように冷たい視線を送る。浜田は女性の視線に気付かないのか? それとも考えすぎか。互いに向き合う形になるから、こちらを見ているのが自然だ。

 それにしても桜が気になる。まるで訴えかけるように俺の視線に入ってくる。待てよ、なぜ広場の端に植えられた桜が見える。外は吹雪のはずだ。それとも天候が回復したか。ちょっと覗いてみるか。

「藤井さん、どこに行かれるのです。瀬野さんを探しに行かれるのですか。それでしたら僕も一緒に行きます」「違うよ、外の様子を見るだけだ」ホント、疲れる男だ。いちいち人の動きを詮索しやがって。あれっ、見えない。扉を開けると広場の端にあるはずの桜は、ほとんど見えない。どうしてだ? 

「藤井さん。やはり僕は瀬野さんを探しに行きます。こんな天気だからこそ、ひとりで出かける理由がないし、何気なく外に出て想像できない理由で倒れている可能性が有ります」next→分かって言っているのか

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