そんな訳ではなくて|住宅−問題

「あ、いや、そんな訳ではなくて。その……、ゆっくりとやれよ。スコップの先で瀬野を突いたりしたら大変な事になる」

 俺が久美子をやったのは、もう七年前の事だ。あの時、凶器に使ったスコップを偶然にも誰かが見つけて、この小屋に戻したとは考えにくい。気にする必要はない、俺の思い過ごしだ。

 だが、どうしてスコップが、あの時と同じように軒下にある? 誰かが意識的に置いたようにしか感じられない。……馬鹿な考えだ、スコップなんて誰でも使うし、手軽に手に入れることができる。そうだよ、ここは雪深い場所だ。誰でもスコップは必要とする。誰かが持ってきて自由に使えるように置いただけさ。

「藤井さん。瀬野さんは埋まってないですね。ホッとしていいんだか、悪いんだか」

「ああ、だがこれで瀬野が死んだと判明した訳じゃない。ホッとするのが正解だろう」

 それにしても一晩でかなり積もったな。五十、いやもう六十センチを超えたんじゃないかな。昨夜の天気予報で放送していた通りだ。大雪警報が出るのも無理はないな。

 いったい天気が回復するまでにどのくらい降るんだ。この調子だと明日には一メートルを超えるぞ……。待てよ、天気が回復したとして、俺は素人の四人を連れて下山しないといけないのか。それはどう考えても無理だ。俺ひとりなら、このぐらいの雪ならなんて事ないが、山の経験が浅いヤツだと、まずしり込みをしてしまう…重要な事に気付いて

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